がん温熱療法ハイパーサーミア:サイト監修 神奈川県藤沢市 村田会湘南大庭病院

一般的ながん治療とハイパーサーミアの併用

一般的ながん治療とハイパーサーミアの併用

がん治療には「化学療法」「免疫療法」「放射線療法」「外科療法」などがあります。がん温熱療法 ハイパーサーミアはこれらの治療と併用することによって、それぞれの効果を増強することができます。

がん温熱療法ハイパーサーミア一般的ながん治療と併用
がん温熱療法ハイパーサーミア一般的ながん治療と併用
化学療法 化学療法

抗がん剤などの化学物質を投与することで、がん細胞の増殖を抑制したり破壊させたりする治療法です。化学療法剤は経口剤や注射または点滴で体内に投与すると血液中に入り、全身のすみずみまで運ばれ体内に潜むがん細胞を攻撃します。全身に転移したがんや白血病など、放射線療法や外科療法などが行えない場合にも有効な治療手段となります。

抗がん剤の副作用は、だるさ・吐き気・嘔吐・脱毛・手足のしびれなどの自覚できるものと、白血球の減少・血小板の減少・肝機能障害・腎機能障害などが挙げられます。

化学療法との併用 化学療法との併用

一般に使われている抗がん剤に併用効果が認められています。ハイパーサーミアで加温することにより血流が増加し、抗がん剤ががん細胞によく到達して細胞内への移行が促進され抗腫瘍効果が増強されます。さらに抗がん剤で損傷したがん細胞の修復が抑えられることにより、抗がん剤投与量の低減が可能になるケースもあります。投与量が低減されることにより副作用を軽減できます。

免疫療法 免疫療法

体の中に侵入した異物を排除するために、私たちの体には「免疫」という能力が備わっています。免疫細胞と呼ばれる白血球などのうち「T細胞(Tリンパ球)」には、がん細胞を攻撃する性質があり、免疫療法で重要な役割を担います。免疫療法は、この免疫の力を高めることによって「がんを発生・増殖させない状態」を目指す治療法です。現在の免疫療法では免疫チェックポイント阻害薬が主に使用されています。

主な免疫関連副作用としては、皮疹などの皮膚障害、肺炎などの肺障害、下痢・腸炎などの胃腸障害、重症筋無力症・筋炎などの神経障害、甲状腺機能低下症といった内分泌障害などがあります。
重大な免疫関連副作用が起きたときは、免疫療法薬の投与を中止します。副作用の症状を和らげるために、ステロイド剤など、免疫を逆に抑える薬を使用することもあります。

免疫療法との併用 免疫療法との併用

マイルド・ハイパーサーミア(40℃前後の加温)により、宿主免疫の活性効果をもたらし、免疫増強効果が注目されています。最近では、活性化リンパ球療法や樹状細胞療法などの免疫細胞療法との併用も行われています。どちらもリンパ球を体外へ取り出し、人工の培養設備で活性化させて大量増殖させてから人体へ投与します。その際、ハイパーサーミアで加温した後に活性化リンパ球を投与することにより、その効果が増強することが報告されています。

放射線療法 放射線療法

エックス線、電子線、ガンマ線などの放射線を腫瘍に照射して、がん細胞の増殖を抑制し破壊させたりする治療法です。放射線はがん細胞内の遺伝子にダメージを与え、がん細胞を壊します。放射線治療は手術と同じく局所治療であり、その効果や多くの副作用は治療部位に限られます。その特徴として(1)臓器の働きや形を保つ(2)副作用の少ないがん治療(3)根治的治療から緩和的治療まで幅広い応用範囲(4)手術や化学療法の併用でよりよい治療効果が得られる、などがあります。

放射線治療中または終了直後(急性期)に起こる可能性のある副作用として、全身的なものでは、疲労感やだるさ、食欲不振、貧血などのほか、感染や出血しやすくなるなどがあります。局所的なものでは、照射された部位の皮膚の変化のほか、部位によってさまざまな副作用が起こる可能性があります。

放射線療法との併用 放射線療法との併用

放射線療法は酸素分圧の高い部分に有効ですが、低酸素部分では効果が低下します。ハイパーサーミアでは、低酸素状態で低栄養な細胞の温度が上昇しやすいため、放射線効果と温熱効果が互いに補い合うことが考えられます。放射線療法だけでは十分な効果が得られにくい大きくて血管の乏しいがんほど、温熱が効きやすいことから両者の併用で増感効果を得る事ができます。さらに、放射線照射によりダメージを受けた細胞の修復を、ハイパーサーミアで加温することにより阻害することができます。

外科療法 外科療法

手術によりがんの病巣を切除します。がんの病巣だけでなく周囲の組織やリンパ節を含めてがんを切除することがもっとも一般的です。血液のがん(白血病やリンパ腫など)をのぞいて手術療法はがんの治療法の中心とされており、第一に選択する治療法です。しかしすべてのがんに対して手術を行うわけではなく、その病期 (ステージ)に応じて治療法を選択します。

手術療法のデメリットは、体にメスを入れるため傷や体力の回復にある程度の時間がかかることや、切除する部位によっては臓器や体の機能が失われることがある点です。このようなデメリットを軽減するために、最近は小さな早期がんを内視鏡(胃カメラなど)を用いて切除したり、鏡視下手術(胸腔鏡や腹腔鏡)というカメラを使った手術が行われ、患者さんの体への負担を軽くしながらかつ、がんを治す取り組みが進んでいます。

外科療法との併用 外科療法との併用

術後の再発抑制に有効であるだけでなく、手術前にも用いられています。術前治療では、手術治療が患者さんに及ぼすストレスが大きいことを考慮し、全身への影響が極力小さくすみ、副作用が出にくい方法が選択されます。ハイパーサーミアはそれ自体による副作用が少なく、全身への影響がないため、外科療法との併用に適しています。また、直腸がんの手術前に行う温熱併用化学放射線療法により根治率が上がり、進行がんでも肛門温存術の可能性が高くなることが報告されています。

サイト監修
医療法人社団村田会
村田会湘南大庭病院
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TEL 0466-20-1700
https://www.shonanobahp.muratakai.or.jp/

村田会湘南大庭病院外観
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